美味いは簡単にありすぎる。神戸パン屋のレコルトがお届けする「美味しさ」の楽しみ方

変態肉屋「笹山精肉店」に学ぶ


ふらっと立ち寄った大好きな肉屋さんで、また「はっと思うことがありました。」




突然「おもろいのん食べてみる?」と言われ出てきたのは、この和牛の塊。


40日間熟成させて「今」が食べごろ!!


これをしゃぶしゃぶサイズに切るんだけど、普通は回転刃のスライサーで切りますが、それを使わない。


手で切る。「この意味がわかるか?」


回転刃だとどうしても摩擦熱が発生する。この熱で「灰汁」生まれるんだけど、


トレーニングされた切り方で手切りすると、「灰汁」が生まれないそうです。


40日間熟成させることで、水分が減り、より肉の味が濃くなる。そしてある一定の期間を超えると、酵素の働きが変わっていき、


倍速のように旨味が膨れ上がるそうです。


そしてこの切り方。滑らかで「灰汁」を生まない切り方で切った肉を口に入れると、滑らかな絹の布が肌に張り付くような感じで口にまとわりつきます。


美味しすぎました!!


「これを本当は食べて欲しいんだけどね。コストがかかるからお値段が高くなって皆さん敬遠しちゃうんだよな」と悩んでいました。


僕も同じ思いです。


便利になりすぎた今。


でもこれはこれで、僕は大好きです。しかし、食材本来の旨味を感じようと思うと、逆に手間がかかっちゃうのが今の時代かなと感じます。


笹山さんが、この手法を思いついたのが、日本の映画だったそうです。加山雄三さんがいわゆる「氷」を入れただけの冷蔵庫から、自然と熟成された肉を当たり前のように包丁で切る。


この昔なら当たり前の手法を見て「なんでこの方法が良かったんだろう?」と考えていたら、この答えに導かれたそうです。


本当に変態!


こんな日中どこで何してても「美味い」を探せる変態であり天才の職人さんといつも向き合っていられる毎日が楽しくて仕方ありません。



僕も今、ある答えに近づきつつあります。


生地のミキシングって、結局最後は手ごねが一番いいよね。


これなんです。


安倍シェフが日本に広く伝えてくださってる「レスペクチェスパニス法」です。


本来の製法であり、究極の製法だと思う手法です。


長くなってしまいますが、好きな方は良かったら読んでください。


先ほど投稿した「肉」の古典的な切り方もそうですが、本来昔から行われていた製法に「美味しさ」の意味があって


便利になりすぎてその本来の美味しさを味わうには「努力」が必要になったなと感じる毎日です。




バゲットは、砂糖や油脂を全く使わないパン生地なんですが、そうすると美味しさを伝えるために

使われるものが「塩」なんです。


塩は万能で、少し振りかけるだけで旨みを感じます。

特に日本は「塩」を使うことが多いです。


だから日本で作られているバゲットには「塩」が多く含まれます。

フランスではこのままでは塩をとりすぎると、法律でフランスパンに含まれる塩の量に制限を設けました。


本来の旨味って塩に頼らずとも生まれるんじゃないか?と研究された製法がレスペクチェスパニス法です。


小麦本来の味を引き出し、酵素を最大限に活用し、自然の酵母、乳酸菌を発酵させ、生まれる香り、酸味、苦味をコントロールすることで

ふくよかな「旨味」を作り出そう。というものです。


結局、何もしない。ただできるだけ加工されていない小麦と、自家製乳酸菌、微量の酵母、減らした塩を手で混ぜる。これでいいんです。


最近は簡単に美味しいがありすぎて、酸味や苦味などの「後天的味覚」を成長させる機会が少ないので、この味覚を感じ損ねていると思っています。




更に手ごねと言いながら、捏ねてないんです。置いてるだけ。これが今の研究の成果です。


Instagramに動画を載せています

https://www.instagram.com/tv/CRLMotsnyEj/?utm_source=ig_web_copy_link


一生懸命手で捏ねても、置いてても同じだったんです。


これはまさにお酒の製法と同じで、


「生酛(きもと)造」と「山廃仕込み」がまさにわかりやすくて、


すごく簡単に説明しますと、

今の人工的に「乳酸」を添加して酒母を作る「速醸酛」と自然な環境下で得られる乳酸菌の発酵を待つ「生酛」があります。


江戸時代からの生酛造は、酒母を作るその工程に米や米麹をすり潰し、液体にして乳酸菌の繁殖を待ちます。この米や米麹をすり潰す工程のことを「山卸し」と呼びます。

しかも熟練の技術が必要なため、誰でもできるというものではありません。


山卸しは、冬の寒い時期に深夜から早朝にかけて1日に何度も酒米をかき回し、すり潰さなければならない重労働。


山卸しの工程で重要なことは米を溶かすことですが、技術革新や研究の成果により、明治時代末期には山卸しをしなくても麹から溶け出した酵素の力で米が溶けることが分かったそうです。


山卸し廃止法→山廃仕込みと言われるそうです。


日々の研究の進化、テクノロジーの進化は大好きです。


最新のiPhoneも楽しみです。


ですが、その中に大切なものを置き忘れないように、いつも心がけなきゃいけないな。せめて自分の領域だけでも・・・。と思う毎日です。


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