パンと血糖値の関係(レコルト松尾が実測した結果をもとに解説します)
皆様ご存知でしょうか?
「フリースタイルリブレ」という
24時間血糖値を測定できる装置があります。
僕が臨床検査技師時代にはこんな便利なアイテムはなかったのですが、
さすが今の時代です。専用のセンサーを二の腕の裏側に装着し、リーダーをかざすだけで、いつも血糖値がわかります。
これを使って何を知りたかったのか?
それは、パンを食べた時の血糖値の変化です。
僕が最近販売を始めた「あなたの体を思うPAN」
これには、たくさんの健康キーワードが隠れているのですが、
まず第1のキーワードが血糖値の上昇を緩やかにさせたいと思ったパンです。
簡単に説明しますと、小麦は主に「デンプン」でできています。
デンプンの構造は大きく分けて2つあります。
アミロースとアミロペクチンです。
1本の鎖状につながっているのがアミロース
枝分かれしているのがアミロペクチンです。
特性が大きく違います。
餅米、餅小麦のように「モチモチ」する特性があるのは「アミロペクチン」です。
アミロースとアミロペクチンが混ざっています。
アミロペクチンが多いほど「モチモチ」します。
餅米はアミロペクチン100%。
タイ米はアミロース過多。淡白なパサっとした食感になります。
じゃぁ!アミロペクチンでいい!そう思います。それもありです。
写真のアミロースやアミロペクチンのように丸い物質が連なっていますね?この1つの○が、ブドウ糖(グルコース)です。
人間はデンプンを摂取した時に、唾液や膵臓の酵素によってこの鎖を切って、ブドウ糖という状態にすることで甘みを感じ、エネルギーに使用できます。
そして血糖値が上がります。
この鎖を切る酵素。この酵素には特性があって、必ず端っこから一つ。切るんです。
ランダムに切るのではなく、端から一つずつ。
写真をよく見てください。
アミロースは1本の鎖状。
アミロースは枝分かれ。
端っこから一つブドウ糖を切り離したら・・・どちらが多くブドウ糖ができますか?
端っこの多い「アミロペクチン」ですよね?
だからアミロペクチン過多のものはモチモチで甘味が強いのです。だから好まれます。
いいことなんですが、これは言い換えると血糖値を上げちゃいます。
のちに結果を書きますが、このパンの微量な血糖値の差よりも、何と食べるか?の方が大きな効果が出たので、
これだけで「モチモチ」はやだ・・・。そうは思わないでください。
より血糖値を気にされる方は、この内容での選択も必要かと思います。
それで探した小麦。アミロース過多の小麦。実は国産は本当に少なかったのです。
僕もそうなんです。モチモチがお好きな方が多いですよね。
だから品種改良がアミロペクチン過多のものを開発するようにした小麦やお米が増えています。
その中でもアミロースが多い九州麦小麦を選択し、さらに全粒粉で使いました。
ミネラルも豊富です。血糖値の上がりを抑えて、高い栄養価も摂れる。そう考えて、全粒粉をさらに微粉砕したものを採用しました。普通の全粒粉では吸収が悪いと考えたからです。
さて、では、何故?血糖値が早く上がったらダメなんでしょうか?
血液中にブドウ糖が存在しているのですが、
1日の中で上がったり下がったりします。
食事をしたら上昇し、空腹になるにつれて下がっていきます。
糖分を各細胞が使用し、なくなっていくからです。
するとお腹が空き、また捕食することで血糖値が上昇します。
では、食べなかったらどうなるのか?
夜寝ている間は?というと、ある一定の基準をキープし、それ以上は下がらないんです。
それがホルモンによってコントロールされています。
血糖値を下げるホルモンは「インスリン」だけ。
上げるホルモンは
グルカゴン
コルチゾール
アドレナリン
ノルアドレナリン
成長ホルモン
etc.
数種類あります。
このホルモンによるコントロールがまた面白くて、
みなさん血糖値って「悪」だと思っていますよね。高いと糖尿病になるから・・・。
何故か「低い」方がいい気がしませんか?僕もそう思っていました。
でも、細胞レベルで「健康」を考えると大きな間違いです。
空腹になり血糖値が下がるのですが、下がりすぎて「低血糖」になることが、細胞レベルの健康には大問題です。
要は細胞が生命維持の為のエネルギーが、血液から引き出せないわけですから。
高血糖はもちろんいけないのですが、低血糖になってしまうことも危険だということです。
健康な方は、なかなか低血糖にならないようにコントロールされています。
日中は、血糖値を維持するために「食べる」という行為ができます。でも、夜間寝ている時はそれができません。この時にホルモンが動きます。
夜間は最初に成長ホルモンが多く分泌され、次第に分泌量が減っていきますが、それを補うように朝方に向けてコルチゾールが分泌されます。
何が起きるかというと、肝臓や筋肉にある「グリコーゲン」を分解し始めます。
普段食べた時に余分な糖分(ブドウ糖)を「グリコーゲン」というアミロペクチンに似た形にして、貯蔵しています。これを切り崩し始めるのです。これで血糖値を維持しています。
しかし・・・ホルモンによる血糖値コントロールを、乱す食べ方、生活習慣があります。
成長ホルモンはしっかり寝て「ノンレム睡眠」という深い眠りの時に分泌されます。
ですから眠りが浅い、夜ふかしする。などの行為で、成長ホルモンの分泌量が減ります。
ちなみに大人でも成長ホルモンは分泌されます。子供のように成長に使うというより血糖値を上げる働きなどに使われています。
そしてコルチゾール。これは副腎から出る抗ストレスホルモンです。
ストレスを和らげるホルモンです。
ですから、日中からストレスを受けることが多いと、消費が激しく副腎が疲労してきます。
ビタミンCなどが足りずに疲労した副腎からは、コルチゾールが出なくなると、夜間の血糖値維持が難しく
寝ている間に低血糖になっている可能性が高いです。
低血糖になると、朝起きれない。やる気が出ない。仕事に行けない。
そんな症状が出ると思います。
朝、カフェインを取らないと動けない。甘いもの取らないと動けない人は可能性がありそうです。
さて、では、パンを食べたら血糖値は上がるのか?気になりますよね。
もちろん上がります。残念ながら・・・
明らかにお砂糖を多く含むパンは、すぐに上がります。ピークが大きく上がります。
大手チェーンさんのお米の商品は上がりやすく、家で炊いたお米は上がりにくい。それも結果としてあります。
多分、古米を使ったとしても、おいしさを安定させるために消化酵素を添加して、澱粉の分解を早めているかもしれません。
おうちでアミロースの多いお米(ササニシキ)などを使うと上りは緩やかになるようです。
小麦でも全粒粉などの澱粉以外のミネラルを多く含んだり砂糖が全く入っていないパンは、
上昇し始める時間が遅くなります。
「あなたの体を思うPAN」もその結果が出ています。
しかし、その差よりももっと明確に差が出た食べ方があります。
僕の体では「タンパク質」を食べてから炭水化物を食べた時、異常に上がりが緩やかでピークも少ないことがわかりました。
カンパーニュ1枚だけ食べるより、ゆで卵1個食べてからカンパーニュ1枚食べた方が血糖値が上がらないのです。
よく野菜を食べてから・・・と聞きますが、僕の体では、野菜よりタンパク質を食べた方が明らかな効果がありました。
パンを食べるとき、何か一つおかずがあると、良さそうです。
野菜サンドも上りは緩やかでしたが、卵サンドの方が、より上がりが緩やかでした。
カンパーニュ1枚よりもその上にチーズやお肉などを乗せたタルティーヌの方が緩やかでした。
でも、誰でもがこの食べ方がベストかどうかはわかりません。
例えば、肉を食べたら胃もたれする。そんな方は「胃酸」が少ないから、タンパク質の消化が悪い可能性があるし
「油」を食べたら気分が悪い人は「胆汁」が少ないかもしれません。
何を食べたら調子が良くて、何を食べたら調子が悪いのかも知るといいかもしれません。
僕の体も、どうやら人と違う構成になっているということもわかりました。
仕事の日。ほとんどですが(笑)
僕は、最初から全力疾走しているように体を動かします。
走るし、重いものを持ち上げるし、階段を30キロの生地を持ってあげたり
休憩することなく15時間戦うことは当たり前です。(社員の方は真似しないでください。経営者の特権です笑)
その中で、常にハイパフォーマンスでいなきゃ行けない。そう思っているから
トレーニングは欠かさないし、ストレス過多になるので副腎疲労を防ぐためにもビタミンCを多量に摂取しています。
そんな僕の体は、日常の空腹時血糖は110あたりで推移しています。どうやらこの値でキープしている時が一番パフォーマンスが高いです。というかこれ以上下がりません。
リブレで計測を始めたら、何を食べたら血糖値が動くのか?調べるために結構「絶食」期間が長くなります。
そうすると、ムクムクムク〜っとアドレナリンなどが作用して血糖値を上げているのがわかります。
なぜわかるかというと、良い捕食をしている時は、自然に血糖値がコントロールされているので、
心も安定しているのです。しかしアドレナリンなどのホルモンで血糖値をコントロールしている時
結構無理にコントロールしている時 イライラします。
少しの目の前の不都合にイライラしている自分を知ります。こんなことでイラ依頼するの?と思うくらいです。
小さなイライラですが、あれ?こんな自分いたかな?と思います。
そして
お休みの日になると、スーーっと90台まで下がっているのでびっくりしました。
生活習慣が乱れて過剰なホルモンによって血糖値をコントロールされると、
なかなか精神も乱れてしまうようです。
逆に食べ方や生活習慣を上手にコントロールして、ホルモンを無駄遣いしないようにすると、
血糖値が安定し心も穏やかになります。先生は「菩薩モードになる」とおっしゃっていましたが、まさにそうだと実感しました。
どんな食べ方が血糖値を上げるかというと、血糖値が下がってきて、やばい腹へった!!が強くなっていく時
もうホルモンはアドレナリンなどが作用し肝臓や筋肉からグリコーゲンを分解し始めている時に、
お腹減りすぎて、すぐにエネルギーになる甘いものをどかどかっ!と食べると
グングン血糖値が上昇してしまいます。グリコーゲンを分解し始めると、食べたからといってすぐにはやめてくれないようです。
そして上がりすぎた血糖値に体が反応し、慌ててインスリンがたくさん分泌してしまい、一気に血糖値が下がってしまい、保ちたい域を超えて下がってしまいます。
これが血糖値スパイクです。
本当に体は不思議で、でも素直だと思いました。今一度皆さんの体を健康に導くためにできる範囲で工夫してみてください。
もちろんできる範囲でです。「やらなきゃ行けない」はストレスです。副腎が疲労します。
そして最後に
体に必要な栄養素、量は人によって全く異なります。
いわゆる「個体差」というものになります。
その人の細胞レベルで必要としている栄養素の量が大きく異なるからです。
例えば、「あなたの体を思うPAN」が誰が食べても「健康」というわけではありません。
栄養素は誰かにとって「薬」になっても、誰かにとって「毒」になることもあります。
分子栄養学を通じてそれを痛感しています。
だからこそ、みなさんに健康を意識してもらい、自分の体、細胞レベルで意識してもらいたい。と思っています。
どんな栄養素がどう作用して、あなたの体を構成しているのか。これを知ると僕のパン職人としての責任の重さをとても感じます。
毎日食べたいものがパンである方が多いと思います。
たくさんの方に食べてほしい。そう思うからには、みなさんが健康になってほしい。本当にそう思います。
ですから、僕に今できることは、知る。そして伝える。そして健康につながるものを作る。
それが今の使命です。
どうか皆さんとずっと健康でいられるように、これからもよろしくお願いいたします。
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